「激動の時代を生きる」 それは、ファッション業界だけの話ではない。00年以降の世界は、めまぐるしく変化していった。僕達が何かを望めば世界的に豊かと言える我が国では、大抵のモノを多くの人々が手にする事ができる新時代になっていった。それは、ある意味差別がなくなった社会に変わっていったのだ。先日、日本は新元号へ変わり、時代の節目を迎えたばかり。2019年5月を生きた僕達は、この「令和」で何を創り、何を提示していくのか?雑誌が売れないと言われて、もうかなりの時間が経過している。確かに雑誌メディアは衰退した。しかし、完全に衰退した面もあれば、全く新しい方法論で形成した面も現れた。時代を読み、時代と共に生きる道を選べば、どんな形だろうと情熱は生きれると、ここ数年で僕個人は感じた。激動の時代などと言われれば、確かに様々なコトが蠢いてるが、個人の価値観で生きられる時代でもあるからこそ、余計なモノは見なければいい。あまりにも多くのモノゴトに鬱陶しさを感じるだろうし、どこか気持ちが疲弊する気にもなる。なので、僕達が今の時代に合ったパフォーマンスを、今一度再確認してみたのが、「テーマ NOW 」なのである。雑誌を必要としない人に、必要とされようとする様な表現ではなく、もっと奥深く、根深い所に立ち返ってみた時に答えは出た。「雑誌やメディアは、ワタシ達に必要なアートフォーム」なのである。それは、僕達の様なファッションも、写真も、音楽やアート、その他諸々も含めて、カルチャーというものに対して憧れや興味を持つ人間ならば、自分の好きなことを通じて、人々とコミュニケーションをとりたいはず。 SNS・WEB でも充分に出来るのかもしれないと言われればそれまでの話であるが、ミュージシャンなら音楽が必要で、スケーターにとってはボードを含めてパークも必要で、絵描きのアーティストなら絵画で、シンプルに僕達クリエイターには必要なアートフォームが雑誌なんだと答えが出たのである。今の時代を生きる僕達が雑誌というフィールドで今回はクリエイターとして最大限に心置きなくパフォーマンスをしてみた「テーマ NOW 」をどうかご覧頂きたい。 (文|スタイリスト ・クリエティブディレクター上野圭助)
Photo / TAISHI FUJIMORI (calm photo) Styling /Keisuke Ueno (REFRAIN226) Hair & MAKE / AYANO URA (hairmakeFULL) Model / WAKA KURUMIYA (elegant promotion)
SPECIAL THANKS / SILK PRINTING SERVICE
洋服を作るきっかけになったのは専門学校で立体裁断の魅力と服作りの楽しさを教えていただいた師との出会い。人体があり、重力があり、生地がある。その中で自然に美しいラインを見出す事はとても良い魅力的でした。教えられたのはとにかく「基本を大事に」「眼を養う」「自然に(ナチュール)」とこの3つのことはとても印象的で今でも持ち続けている大事なことです。どの時代でもとにかく洋服をたくさん作り基本を知り、そして繰り返すこのことの重要性は今でも変わりません。そして眼を養う、美しい物や景色などたくさん観て、体感し感じるその行為が美しいものを作りだす源、とにかくデザイナー(作り手)は様々な事に興味を持ち、体験したり肌で感じる事がなによりも重要です。3番目の自然に(ナチュール)とは服作りの際に重力と向き合うこと、人体と布と重力、自然に逆らわずに出来る美しいラインを見出すためにはこの3点を意識しています。その後、日本でやれるだけ立体裁断を追求し本場のパリの技術を体験して習得するためエコール・ドゥ・ラ・シャンブル・サンディカル・ドゥ・ラ・クチュール・パリジェンヌ(Ecole de la Chambre Syndicale de la Couture Parisienne)。1927年、フランスのオートクチュール使用者団体。通称「サンディカ」により、スティリズム(デザイン)とモデリズム(パターン)の高等教育機関として創立された学校に編入しました。在学中はオートクチュールのメゾン、プレタポルテのブランドで研修や仕事をしパリのリアルな業界の仕組みや技術を経験、卒業後はパリで出会った渡邊氏とレディースのプレタポルテブランド〈ドルカス パリ〉を設立しプレタコレクションを発表。その後、大手インポートブランドに入社、クリエイティブディレクターのアシスタントとしてミラノコレクション、ライセンス業務など日本、香港、イタリアで経験しキャリアを積みました。
私自身生粋のデザイナーかと問われると、疑問に思うところもあります。もちろんとても考えてデザインをするし、絵を描くことも好きだったし、商品に対する思いもあります。何より誰のために何のために今デザインを起こしているか。を常に考えてます。元々、私は長崎県の平戸出身でして、平戸の街で暮らす方々と制作を開始しました。異文化交流で培ったオリエンタルなカラーとスタイル。そして様々な異なる素材をミックスし、既成概念にとらわれないファッションの新しいカタチを提案し、人が持つ個性を引き出すブランドとして平戸から世界に発信したいと思い〈トイロフィランド〉はスタートしています。約500年前、平戸は他国との貿易が盛んに行われた『西の都』と呼ばれていました、戦国時代から江戸時代初期にかけて貿易港として繁栄した街は、異国情緒溢れる歴史のある場所です。そんな、平戸の魅力を多くの人へ伝えるべく、Made in FIRANDO(長崎県平戸市)から生み出すコトをテーマにしています。なので、平戸独自の色彩と文化様式をイメージの源泉とし、アクセサリーをデザインしています。そこから、平戸に仕事を生むコトにも繋がると思っています。