LIRY VOL.19 SPECIAL ISSUE “What’s Fashion?”
#6 Fashion Creation
ファッションを創る・生む理由人とは? デザイナーに聞く、ファッションプロダクト。
chapter 5
S.i.m. : Sunao Nishimura
セレクトしたブランドを際立てる ”ニューベーシック”の提案
西村直 さん
<シム>デザイナー <バースデー>オーナー
<シム>のスタートは、カラーリング、生地のオンス、縫製、まさにニューベーシックなカットソーの提案から生まれた。
ーセレクトショップ【バースデー】がオリジナルプロダクト〈シム〉をスタートさせた経緯をお聞かせ下さい
シーズン毎の展示会は半年前に行われるのに、発売されるのは半年後。そこに少しずつ物足りないモノや、こんなモノが出てきてほしいっていうのが、実売になると出てくる。オンタイムに近い形で、東京ブランドとはまた違ったアプローチや目の前のお客様に喜んでもらえる普遍的かつ、新鮮に感じてもらえるアイテムを店頭で提案したいと思ったのが〈シム〉を始めたきっかけです。元々は古着屋出身だったので、古着屋の買い付けってかなりオンタイムだったので、丸8年、東京ブランド、インポートブランドをセレクトする中で、足りないモノをプラスαのオンタイムで提案しているのが、現在の〈シム〉。
ー影響を受けたブランドやデザイナーはいらっしゃいますか?
まだ自分に何が似合うか?何が好きか分からなかったので、若い時ひと通り失敗しまくりながらファッションを楽しんでみて、 あれや、これや古着や黒服モードやヒッピー風やヴィヴィアン、フレンチカジュアル、アメカジ、ギャル風まで(笑)。とくに明確なモノは無いです。
ー昨今溢れている、セレクトショップの不定期に展開するようなプロダクトと違い、〈シム〉は展開する時期こそバラバラではありますが、スタートしてから、様々なプロダクトを作っていると思うのですが、この1年という短いタームで展開している理由は何でしょう?
最初に述べたオンタイムというのもあるのですが、コストパフォーマンスも大きな強みです。良いモノ、悪いモノの2極化が進むファッション業界でやはり良いモノはわかりにくい。無地Tにおいても、良いモノはエンドユーザーにしっかり伝わるし、気づくと思う。それを伝える発信基地が今の【バースデー】であって、〈シム〉である。なるべく良いモノを価格的にも、挑戦しやすいように、これは散々今まで服を買い続けた故の感覚とか、自分ならという観点のもとで、敷居を上げすぎないというのもありますね。ただ、安くはないし、高い過ぎない価格帯です。気に入ってもらえれば、同じモノの色違いをギリギリ買えるっ て言う感じのボーダーラインでやっています。
ー〈シム〉のプロダクトは、メンズウェアがベースだと感じていますが、着る人は男女問わずジェンダーフリーに着れる仕上がりの様に見えますが、そう言った点は、どう考えてるのでしょうか?
本当は、もっと女性にも着てほしい。メンズ、レディースって服の選び方や買い方もほんとに違う。でも、少しずつだけど、女性も、沢山の洋服を、持つよりも良いものを少しずつ集めるような(メンズ化してきたのかな)女性も増えたように感じます。だからあえて、メンズ、レディースというような垣根は作らず、来てくれたレディースのお客様にも、良質のモノ、雰囲気やプロダクトを作る気持ちをわかってもらえるように頑張ってお伝えしてます。それは女性のカッコいい生き方につながってくるのかなぁとも思っています。
ーデザインを生む中で、大事にしてるバックボーンは何でしょうか?
やっぱり古着が多いですね。スケートものであったり、昔集めてたもの歴史は色々だけど、最初はオールドスクールで「アディダス」。そこから、スケートカルチャーにどっぷり、70年代のレザージャケットやバンドTなど買いあさってました。振り返ってみるとジャンルも違うし、歴史を語る服が好きなんだと思いました。今は自分の年齢、そして時代に、あった今ならではの素材のテクノロジーによる普遍的だけど、進化系?的なとこを制作してるんだと思います。
ー今までは、着るものをセレクトしていましたが、オリジナルプロダクトを始動させて、セレクトショップの運営での変化はありますか?
真新しく、凄く感動するアイテムを作ってくれるブランドさんがメインになってきました。逆に普通ぽっい、自分の方が良いものを作れるといったようなとこからは仕入れしなくなったので、基本的なアイテムへのバイイングは、シビアに精査されてると思います。より刺激的で感度の高いアイテム。そして、それをより際立たせる〈シム〉の存在は【バースデー】の中で大きな役割を担ってきているような気がします。新作をいつも購入してくださる方のためにも、「新しさのあるニューベーシック」を制作していきたいですね。
*西村直さん
<シム>デザイナー <バースデー>オーナー
北九州市小倉出身。服飾専門学校卒業後、古着屋、セレクトショップで様々な経験を積み独立。セレクトショップ【バースデー】は、メンズウェア中心に、レディースも展開。2017年にオリジナルプロダクト<シム>をスタートし、様々なウェアを現在も生み出している。
web : birthday-fukuoka.com
Instagram : @birthday_fukuoka
interviewer : Stylist Keisuke Ueno