LIRY vol,17 Special Issue Scent #2

三大香木

Fragrant Wood

香りの強い花”をつける3つの樹木。咲く季節は違えど、印象的な香りを持ち、誰もが一度は香ったはず。3つとも、季節を代表したり、詩や香水など、ワタシたちの生活のどこかに実は隠れています。

 

 

金木犀 ・ osmanthus

 

キンモクセイ(金木犀)

金木犀の香りの楽しみ方

甘く濃厚なこの香りが漂ってくると、オレンジの花を探す方も多いはず。9月~10月にオレンジの小さな花を沢山つけ、夕日に輝く姿は黄金に輝き、ひと際目を引く秋を代表する樹。強い香りを持つ花には虫がよってきがちですが、金木犀の香りには忌避効果があり害虫を寄せ付けません。芳香剤や香水で馴染み深い金木犀は、アロマオイルにもなっており、ストレス軽減、リラックス効果も。そして、食欲を旺盛にする体内の神経伝達物質を抑制してくれるため、ダイエット効果もあるそう。そんな金木犀は食用にもなり、産地の中国では「桂花」や「丹花」と呼び、3年間白ワインに漬け込んだ桂花陳酒という香りも甘みも強いお酒があり、楊貴妃が愛飲していたことで知られています。九州鹿児島では金木犀の葉をお茶に、その他、砂糖漬けやジャムなど楽しみ方は、香りだけにとどまらない。

 

 

キンモクセイ(金木犀)の花言葉

「陶酔」「謙虚」「初恋」「気高い人」

周囲を強い香りで染め、うっとり気持ちよくさせてくれる金木犀の香り。「陶酔」といった花言葉はそこから生まれたものです。一方、そんな香りの魅力を持ちながら花が小さく控えめなことから、「謙虚」といった花言葉も。花の見頃は短く、3~7日間程の開花期間のみ香りを楽しむことができますが、雨が降るとすぐに花が散ってしまいます。一度嗅いだら忘れない香りを記憶に残し、一瞬で散ってしまうことから、初めての忘れる事のない恋、「初恋」に似ていると、この花言葉が結びついたようです。潔い花の散り方も特徴的で、開花から10日~15日くらいで全ての花を散らせ、木の下は金色の絨毯のようになります。その散りゆく姿から「気高い人」とされ、中国では位の高い女性がお酒や香料に用いたことからこの花言葉の由来にもなっています。他にも金木犀には様々な花言葉があるようです。

 

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Photo /  Chihiro Fuchigami
Hair&Make / Ayano Ura (harimake FULL)
Special Thanks / F-cox
Model / Saika Arita